教科書レビュー:解剖学

 僕の解剖学の勉強の基本は『解剖学講義』でした。実際使ってみてどうだったかと言えば、目の覚めるような分かりやすさがある訳ではないし、全く意味不明の記述が書いてある訳でもありません。解剖学を勉強するのなら持っておいたら?程度のものであったと総括しています。内容が濃い訳ではないので、調べ物としては不向きです。『イラスト解剖学』の方が深い知識が載っていることもしばしばでした(これについては後で書きます)。図も決して秀逸ではなく、普通の図です。良い点としては、青字で書かれている臨床解剖学的な知識は時々はっとするような内容が書いてあり、勉強意欲をかきたてられたのを覚えています。ただそれがハードな解剖学実習中に消化できるかといえば、微妙な気もします。口に出しながら解剖学を説明する(語る)ときのつなぎになるので、その点では有用でした。
 次に『イラスト解剖学』ですが、説明や絵も秀逸で、確かにこれをベースに勉強しても間違いはなかったと感じています。僕はイラ解をサブテキストの形で使っていましたが、今考えてみるとメインに置いた方が良かったと反省しています。とはいえ、これだけを使って解剖学を勉強するのも・・・?と感じるのは僕だけでしょうか。ただ、こんな疑問を打ち消すぐらいの必要情報量がイラ解にはあるので、断言することはできません。図と説明を完璧に覚えて使いこなせれば、論述試験なんて余裕ですから。勉強方法としては塗り絵を多用しました。これが意外に理解を助けてくれたと感じています。あとは語呂などを使い、実習中にその日の観察内容を復習するには欠かせないものであったと思います。
 調べ物としては学校指定の『日本人体解剖学』を借りて使いました。確かに内容は濃いですが、変なところで薄かったり、書き方がおかしな部分もあったりしました。
 アトラスは例外にもれず『ネッター解剖学図譜(新版はアトラス)』を使いました。文句のつけようのない解剖の友ですね。数回行われた小テストはこれとのにらめっこだったのを覚えています。実際の写真としては『解剖学カラーアトラス』を使いましたが、他に値段が安くて使いやすいものがあった気がします。実際に実習を始めると、剖出が上手だなぁと関心しきりでしたけど。
 その他に『肉単』を使用しました。実習前半の筋肉観察で役に立ちました。いくらか誤植がありますが、それは自分で直せば良し。起始・停止・支配神経・作用が整理されてて便利です。ところどころにある雑学は、看護学校の娘たちに説明するときに使えます。